パパ育休取得者インタビュー

2026.07.10

「この1か月は、人生で二度と戻ってこない時間でした」
――パパ育休を取得した店長に聞く

第一子の誕生を機に、産後パパ育休と従来の育児休業を組み合わせて1か月の育児休業を取得した銀座本店の店長。管理職としての責任と向き合いながら育休取得を決めた経緯、育児の実体験、そして復帰後の変化について、率直に語っていただきました。

育休を取ろうと思ったきっかけ

Q. 育休を取得しようと思ったきっかけを教えてください。

一番大きかったのは、会社が「パパ育休を率先して取りましょう」と発信してくれていたことです。「父親が育休を取れる環境を当たり前にしていく」というメッセージをはっきり出してくれていたので、僕自身もすごく取りやすかったんです。

第一子で何が起こるか分からない中、「これは自分が動くしかない」と思ったのも大きな理由です。まずは人事担当者に相談して、出産にあわせてスケジュールを決めていきました。妻の入院期間が5日間だったので、そのタイミングに合わせて育休をスタートさせています。

育休を取得した銀座本店の店長
銀座本店 店長 Mさん

Q. 取得を決めたとき、周囲の反応はいかがでしたか。

上司は快く後押ししてくれましたし、迷惑そうな顔をする人は一人もいませんでした。子育ての先輩にあたる方々からは応援の声をもらいましたし、他部署の人からも「子育てだけじゃなくて家事も奥さんのサポートも必要だよ」と助言をいただけて、本当にありがたかったです。

Q. 取得前に不安だったことはありますか。

正直、一番の不安は「管理職の自分がいないことで、日常業務に支障が出ないか」でした。予算に対する責任もありますし、お客様対応も店長としての信頼が大事な仕事です。特にリピーターのお客様に対して「店長がいないから対応できません」という状況だけは絶対に避けたいと思っていました。

そのために、妊娠が分かった段階から引き継ぎを意識して動き始めました。出産予定日の約7か月前からリピーターのお客様には自分一人ではなくスタッフと一緒にお客様対応に入っていました。育休が明けた後にはリピーターのお客様がいつ来店されたのか、どのような接客をしたのか共有を受けました。

自分では「プレイングマネージャー」というより、サッカーの監督のように、現場に出なくても店が回る「マネージャー」の立場を意識して準備していました。結果として、育休期間中もお客様の不安な声はなく、店舗運営への大きな影響もありませんでした。スタッフが期待に応えてくれて、緊急の電話やチャットも一切なかったんです。上司や他部署のスタッフ、他店舗の店長もフォローに入ってくれました。


育休中の実体験

Q. 実際に育休を取ってみて、想像と違ったことはありますか。

想像以上でしたね。「育児ノイローゼ」という言葉の意味が、実感として分かりました。自分の時間がここまで取れなくなるとは思っていませんでしたし、男性としての育児観が根本から変わったと思います。子どもは何もしなくても勝手に育つわけではないし、「育児は母親がやって当たり前」という考え方自体がおかしいんだと、身をもって気づかされました。

Q. 1日のスケジュールはどのような感じでしたか。

授乳は3時間おき。夜中の11時、深夜2時、朝5時という感じで、親も一緒に起きなければなりません。ミルクをあげて終わりではなく、妻が母乳をあげている間にミルクを準備して交代し、げっぷをさせて、ぐずる時間もある。そこだけで2時間くらいかかります。残りの8時間で睡眠、家事、買い物、食事、お風呂、おむつ交換をこなす生活で、実際の睡眠時間は3〜4時間ほどでした。

Q. 大変だったこと、逆にそれほどでもなかったことは。

とにかく眠れないことが一番大変でした。一方で、親族から服のお下がりをもらえたり、会社の同僚が事前に「これだけは準備しておいた方がいい」と教えてくれたおかげで、必要以上にそろえすぎずに育休を迎えられたのは助かりましたね。

Q. パートナーとの役割分担はどうでしたか。

もし自分一人でやっていたら、間違いなくノイローゼになっていたと思います。何をしても泣き止まないことも多くて。出産後の妻の体調や回復のことも考えながら、育児と家事を担っていました。夫がそばに寄り添うことの大切さを、この期間で強く実感しました。

Q. 印象に残っているエピソードはありますか。

⽣まれてから1か⽉間、毎⽇の成長に触れ合えたことです。⼦どもと接して育児や家事に専念できる期間というのは、これから先の⼈⽣でもう⼆度とないんだと思っています。目が開いたり、まつげが生えてきたり、涙がではじめたり、1か⽉で体重が1キロ増えるなど成⻑の早さを肌で感じましたし、泣き⽅の違いで「⽢えたいんだな」と分かるようになったり、⽬が合った瞬間や表情が出てきた瞬間に⽴ち会えたのは、育休を取らなければ味わえなかった経験です。

1か⽉取って本当によかったと思うのは、新⽣児期の検査や産後1か⽉健診に夫婦⼆⼈でつきそえたことです。産後1か⽉健診のOKが出るまでは基本的に外出できません。その間、赤ちゃんに起こるちょっとした不安は、とても心配で、一人で抱え込みがちです。そんな時に夫が寄り添うために育休を活用してほしいと思っています。会社から慶弔休暇や配偶者出産休暇として4⽇の有給付与もありましたし、ぜひ制度を活用し、1か月健診までは育休を取得することをおすすめしたいです。


復帰後の変化

Q. 復帰後、業務や職場の雰囲気に変化はありましたか。

良い意味で、特に⼤きな変化はなく、スムーズに業務の引継ぎに集中できました。育休中に始まった新しい取り組みについても、スタッフが自分たちで運用を決めてくれていて、みんなが責任感を持って動いてくれていました。「不在中に支障が出るのでは」という不安は完全に杞憂で、スタッフには本当に感謝しかありません。

Q. 育休の前後で、仕事への向き合い方に変化はありましたか。

家族ができたことで、仕事に対するモチベーションは大きく上がりましたね。「自分のために」だけではなく「家族のために」という軸ができたことで、日々の仕事に対する意識がはっきりしたと思います。それと同時に、育休中にスタッフだけで店をしっかり回してくれた経験は、僕自身にとってもすごく大きなものでした。自分がいなくても店は回る、でもそれはスタッフを信頼して権限を委ねてきたからこそだと実感できて、復帰後はより一層、スタッフを信頼して任せていこうという気持ちが強くなりました。


会社の制度・環境について

Q. 会社の育休制度は使いやすかったですか。

人事担当者とチャットで個別にやり取りしながら進められたので、安心して手続きを進めることができました。スケジュールの相談段階から丁寧に対応してもらえましたし、社内ポータルには育休制度について詳しく掲載されていたため、制度への理解も深まりました。また、出産当日は半休を使って立ち会うこともできて、それも本当によかったです。

また、今回育休を取得するにあたり、上司をはじめ、店舗スタッフや他部署の皆さんには多大なご協力をいただきました。他部署からの応援やシフト調整、体制づくりなど、会社全体で支えていただいたおかげで、安心して家族と向き合う時間を過ごすことができました。本当に感謝しています。

Q. 男性の育休取得について、社内の雰囲気はどう変わってきていると感じますか。

「自分も取ろう」という空気は着実に広がってきていると感じます。子どもと過ごすこの1か月を、できるだけ多くの人に味わってほしいですね。ただ、役職者での取得事例はまだ少ないので、そこはもっと変えていけると思っています。


これから育休を検討する方へ

出産に集中している奥さんを、まずしっかりサポートしてあげてほしいです。これほど育児に深く関われる時期は、人生の中でもこの期間だけです。大変なことも多いですが、それを上回るくらいの経験ができます。ぜひ育休を取得して、父親も育児にしっかり参加してほしいと思います。

育休中の赤ちゃんを抱く銀座本店の店長
育休中の1枚
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