「時計の知識が豊富なスタッフがご案内致します。」
その文言を目にしても、自分が相談したい内容に関する知識を目の前のスタッフが持ち合わせているかどうか、不安に思われる方もいらっしゃると思います。
「知識が豊富」と一言にいってもその度合いは様々です。
その「時計の知識が豊富」という度合いを標準化したものが
「ウォッチコーディネーター資格検定」
(Certified Watch Coodinator 以下、CWC)です。
CWCは一般社団法人 日本時計輸入協会が2011年から始めたもので、時計に関しての専門的な知識を持ち、
お客様が時計を購入するときやアフターセサービスを受けるときに適切にアドバイスができ、
また、お客様にとって安心して相談できる人材の育成を目的として作られた認定制度です。
昨年までに1,982人のウォッチコーディネーターが誕生し、全国で活躍しています。
つまり、CWCを有しているスタッフは「時計の知識が豊富」と言うことができ、
お客様のニーズにお応えできるスタッフであるといえます。
例えば時計は時間を知るためのものであると同時に身に着けるものです。
金属アレルギーをお持ちの方はステンレススチール製をケースやブレスに用いた時計を
身に着けられるとアレルギー症状を起こしてしまいます。
金属アレルギーはどのような物質が原因で起こすのかを理解し、
その上でアレルギー症状を起こしにくいとされるチタンやセラミックを用いたものや
表面にコーティングを施したものなどをお勧めいたします。
また、防水性にこだわりをお持ちの方は多いと思います。
防水性には大きく分けて5つの種類があります。
非防水、日常生活用防水、日常生活用強化防水、
日常生活用強化防水、スキューバ潜水用防水、飽和潜水用防水
防水性の詳細はこちらをご覧ください。
腕時計の防水性能|その正しい知識と使い方
時計にとっての敵の一つは水です。
突然の雨、暑い季節の汗、手洗い時など、
日常生活にも時計が水の危険にさらされる場面が多々あります。
確かに高い防水性を持つ時計の方が安心ですが、
防水性の高い時計はそれだけ頑丈な造りになっているので
重いなど、着用感に支障を感じることも出てきます。
例えばオフィスでパソコンを用いたお仕事をされている方が
手を洗う際の水しぶきが気になるからと、
飽和潜水用防水の時計をお求めになられると、
水滴は安心できるかもしれませんが、
装用感や使わない機能が多いことに違和感を覚えるかもしれません。
お客様がガソリンスタンドや園芸店など、
水と多く接触をする方なのか、
ダイビング等での使用をご希望なのかなどを伺い、
適切な防水性をお勧め致します。
当店のスタッフは全員がCWCを持つことを目標としています。
店舗スタッフはもちろん、
通販スタッフ、修理受付スタッフ、
さらにはバックヤード業務を行う総務経理スタッフに至るまで
全員が受験します。
今年も未取得の16名のスタッフが受験いたしました。
CWCは年に一度、東京と大阪の2か所で開催されます。
今年もまだ雪が残る1月24日に筆記試験が行われました。
試験は時計の歴史や仕組み、機能など多岐にわたります。
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筆記試験に合格すると実技講習を受けることが出来ます。
東京では「ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」さんの神南校舎で行われました。
こちらの学校は時計修理の登竜門的な存在で、
当店のメンテナンスチームもこちらの学校の出身です。
講習は講義あり、実習ありの充実した内容で、
講義は時計の学校ならではの
模型を用いたものでとても分かりやすく、
受講することでさらに時計に関する理解と関心が深まります。
実習ではクオーツ式時計の電池交換に
コマ調整、防水試験、磁気抜きなどを行います。
時計の最大の敵は「磁気」であるというのに、
身の回りにはバッグの留め具、コリをほぐすための磁気ネックレス、
スマートフォンのスピーカー部など、磁気を発するものが多くあります。
特にアナログクオーツの時計は針を動かすパーツが
永久磁石でできているので
磁気が近づくとパーツが磁気に吸い寄せられて動きを止めてしまいます。
しかしながら時計を磁気を発しているものから遠ざけると
すぐに針は再び動き始めます。
針が止まっていた間の遅れは生じるものの、
時間合わせを行えば今まで通り使うことが出来ます。
一方で機械式の時計は一度磁気を帯びると自然に抜けることはありませんので
「脱磁機」という機械を用います。
実際に脱磁機にかけ、その前後の測定を行い磁気が抜けたことを確認します。
これらは当店でもよくお寄せいただく内容ですが、
講習では講義と実習を以て習得することができます。
そしてこちらの講習ではムーブメントの分解&組み立ても行います。
今回の実習では分解・組み立てが行いやすいように
腕時計用ではなく懐中時計用の大きなムーブメントを使用しました。
それでもわずかな空間に小さなパーツがひしめいていて、
それぞれが役割を持った動きをし、それらが組み合わさって
「時計」と言う一つの機能を果たしている
ということを目の当たりにしてとても感動しました。
1cmにも満たないようなパーツをボールペンの先ほどの大きさのネジで固定してあります。
頭に装着したキズミ(ルーペ)で覗き込みながらドライバーで外していきます。
少しでも気を抜いたら転がっていきそうな小さな小さな部品を
慎重に外し、外した順番に並べていきます。
分解が終わったら今度は元通り組み上げていきます。
組みあがったら測定して正しい精度が出れば成功です。
このような筆記試験、実技講習で培った知識にて
お客様のサポートをするのがウォッチコーディネーターです。
時計の購入や不具合でご心配頂いていることがありましたら
今年新たにウォッチコーディネーターに認定されたメンバーも含めて
アドバイスさせていただきます。
お気軽にお声がけください。